都会の家庭医療(総合診療)
多種多様な医療介護機関との連携
様々な医療機関、介護機関が都市部には存在するため、患者さんに多種多様の医療介護従事者が関わります。そのなかで研修することでコーディネーター、マネージャーとしての能力が育成されます。
住民の背景の多様性
仕事も、出身地も、すべての背景がそれぞれの患者さんごとに異なります。この傾向は都会で顕著です。また独居高齢者が多いことも都会の特徴です。患者さんそれぞれの背景を把握し最適な医療につなげていく能力の育成にはとても良い環境にあります。
コミュニティーの希薄さ
ご近所付き合いが都市部では希薄です。そのため健康に対するサポーターとしての役割がより求められるのが都会の医療の特徴です。地域住民のサポーターとなるための能力のスキルアップには最適な場所です。
イノベーティブな教育
エビデンスのある世界基準の教育を追求し続ける
ポートフォリオ
専攻医が研修中に実際に実施して学んだことをポスターや文書にして示すものです。その作成過程において専攻医は様々なことを学んでいきます。
現在では総合診療専門医の取得のためにポートフォリオの作成が必須ですが、
当院が日本で初めて2001年に医師研修プログラムにポートフォリオを導入しました。専攻医一人一人にポートフォリオ作成のための指導医をつけ、作成支援を毎月実施しています。また年2回の集中支援日を設けて質の高いポートフォリオの作成を目指します。
構造的振り返り
初期研修医も専攻医も、毎月のレジデントデイにて構造的な振り返りを行います。それによって自分の研修を客観的に見つめ直し、指導医からフィードバックをもらい、次の研修課題を見出すことに役立てます。
360度評価
他職種からのフィードバックを受けることにより指導医が気がづきにくい点についても助言を得ることができます。特に臨床の場面での態度についてフィードバックを受けることができます。
Mini-CEX
実際の診療場面を指導医が決められた項目に基づいて評価します。知識だけでなく、態度面についてもフィードバックを受け、自分自身の振り返りだけでは気付かない部分についての成長のきっかけを作ります。
Clinical Jazz
Jazzは基本となるコードとアドリブで構成される音楽です。EBMというコードに臨床経験の振り返りというアドリブを加えて省察をしていくことが医師としての成長につながります。これを発表とディスカッションの形式にしたものがClinical Jazzで毎月1回実施しています。
ITE
年1回実施する筆記試験です。単なる知識を問う試験ではなく、診療を構造化し臨床で直面する問題の解決能力を問う試験です。アルツハイマー型認知症終末期の寝たきりの方が肺炎になったときのマネジメントなど、よくある場面での問題解決能力が問われ、不足する能力の抽出と成長につなげます。
Key Features試験
年2回実施する筆記試験です。カナダで家庭医の専門医試験に採用されているこの試験は、さまざまな領域のKeyとなる重要な能力を問います。例えば胸痛の領域では鑑別診断に肺塞栓症を挙げられるか、などです。出題領域は100程度にわたり、総合診療医に必要な幅広い能力を試します。
プロフェッショナリズム教育セッション
医師としてのプロフェッショナリズムについてディスカッションを行います。過去の例では「医師としての思いやり」について事例を通してそれぞれの考えを共有しました。知識や技術だけでない、より高度なプロフェッショナリズムを備えた医師の養成を目指します。
PCCMカンファレンス
患者中心の医療の方法(PCCM)を用いたカンファレンスを毎週実施しています。生物医学的な部分だけでなくライフサイクル、家族背景、価値観なども含めた議論を行うことで、本当の意味で全人的な医療を提供できるよう促します。
老舗:病院全体での教育体制
2001年から家庭医の育成を実施
まだ家庭医(総合診療医)の研修施設が希少であった2001年から教育システムを構築し、20名以上の家庭医療専門医を輩出しています。
「総合診療医育成」が病院のミッション
病院のミッションとして総合診療医育成が位置付けられており、若手だけでなく管理者や他職種も総合診療医の研修を重視しています。
常勤医師の大多数が家庭医専門医
病棟医長をはじめ、ほとんどの常勤医師が家庭医療専門医で、研修内容に十分な理解のある環境です。
専攻医全員が総合診療の研修プログラムに所属
全員の専攻医が同じ研修をしているため、専攻医どうしが同じ目標と経験を共有しており、協調性の高い環境のなかで研修ができます。
病院家庭医としての能力の向上
外来−入院−往診における継続的なケア
外来、入院、往診のすべての場面での研修が必須であり、広範囲かつ継続性のある医療の能力が身につきます。
地域と高次医療機関のハブ機能
患者さんが自宅へ戻るときや高次医療機関へ行く場合の調整役となることを数多く経験します。それにより総合診療医に必要なコラボレーターとしての能力が身につきます。
高度で質の高い在宅医療
在宅人工呼吸器や経管栄養など、医療依存度の高い方の在宅医療を経験することで、自宅で過ごしたい方やその家族のサポーターとしての高い能力が身につきます。
その他の特徴
安心・安全な教育文化
No Blame Culture(非難しない環境)づくりをモットーとして、好ましい教育環境の維持に努めています。
専門医取得のための指導
指導医全員が家庭医療専門医であり、専攻医が出会う事例の一つ一つに対して、専門医取得のための事例としてのアドバイスが可能です。
地域住民との強固なつながり
地域住民の方々が出資して運営する医療機関であるため、医師をはじめとした職員と住民との関わりが盛んです。研修期間を通じて特定の住民グループの健康増進に関わる研修システムを導入しています。
働き方の多様性
専攻医や常勤医師には子育て中の医師も多く在籍し、勤務時間やローテーション先の勤務地に最大限の配慮をしています。必要な場合は女性医師復帰支援プログラム(カトレア)へ移行し研修期間を延長することで1日あたりの勤務時間を減らすことも可能です。